こうして捨て身のチャレンジは始まった。営業は好きではあるが、過去はルート営業で、飛び込み営業は未知の分野だった。一日20軒訪問し、脈のありそうな会社には以後週一回ペースで訪問を続ける。こうして一年間に1000軒の会社を訪問する!計画を立てた。
最初の一ヶ月は無我夢中で、新しい出会いを楽しむ事が出来た。しかしそれ以後苦戦の日々が続くことになる。なにしろ山口県は全くの未知の地域で知人は無し、過去の繋がりにすがる事もできない。次第に緊張と不安で疲れ切る毎日となっていくのである。門前払いもあった、感じの良い人だと思って、二度目の訪問をすると、豹変した形相で「この前断ったでしょう!」と言われる事もあった。...それでも朝自宅を9時に出て夕刻6時に帰るリズムを崩す訳にはいかない!妻に不安を与える事になるからである。よく阿知須の道路脇で時間を潰したものだ!
当然の事ながらいくら明るく振る舞っても、妻には無駄であった。全てを察知していたようだ。孤独な日々は一年続いたのである。